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男はよく死街には来ており、いま立っている警備官たちとは面識があってそれなりに信用されていた。 警備官といえども老若男女それぞれで特別厳格な警備をしているわけでもなく、門番程度の人たちである。 しかしモラルには厳しく人並みに窃盗を許す人たちではない。 死街では死にゆく人への尊厳があり神聖なものとして扱われている。 死に行くことへの自由が認められている。 男は入り口から逸れた脇道へ逃げる様に入って行く。