タイトル一覧
晴天の鷹
晴れ渡った青い空。
一羽の鷹が悠々と空を飛んでいる。
ayoan
太陽は真上まで登りきった時刻で、強い光を砂の大地に浴びせている。
空高く飛んでいる鷹の影が輪郭もハッキリと大地に写る。
ayoan
グライダーのコックピットの中。
いくつもの計器や機器がありパイロットが操縦桿を握っている。
窓の外には広い空と大地が広がっている。空に一羽の鷹が浮いている。
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鷹がグライダーのすぐ横まで近づいてきた。
パイロットを一瞥してから、勢いよく太陽に向かって上昇し、そのまま大きく旋回した。
ayoan
パイロットは鷹を見た。
{あいつの様に上昇気流を掴むんだ}そう自分に言い聞かせながら操縦桿をぐっと握る。
しかし鷹を見る視線はだんだん上がっていき、ついに鷹を見失う。
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パイロットは、まだまだこんな飛行機じゃダメだ、と思った。
ayoan
力を抜いて操縦桿から手を離して遠くにみえる大きな雲を見つめる。
グライダーはゆっくりと滑る様に進んでいく。
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しばらく風に身を任せて滑空を楽しんだあと、男は着陸地を定めた。
ayoan
無線で着陸地点を報告して旋回しながら高度を下げていく。
大地と空が少し傾き滑らかにスライドする。
男はやはりここが好きだ、と思う。
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地上に一台の小型のトラックが走ってくる。
トラックの上を鷹の影が横切る。
トラックを運転している初老の女は空を見る。
真っ青な空間にグライダーと鷹の影、真っ白な光を放ち続ける太陽が浮かんでいる。
ayoan
グライダーといっしょに鷹もトラックの走る方向へ下降しながら近づいてくる。
ayoan
初老の女はトラックを止めて無線機を手にする。
女「着いたよ。」
男「見えているよ。」
女「あいつは今日もお前の上だねぇ(笑い)」
男「、、、見えてるよ。」
グライダーはスムーズに着陸して綺麗にトラックの近くに止まる。
鷹はグライダーとトラックの上をぐるりと一回周ってから飛び去って行った。
ayoan
男はうれしくも悔しくもある表情をして悠々と去って行く鷹を目で追った。
操縦士の男はヘルメットを脱ぎグローブを外した。
男「ママ、飯にしよう。」
ayoan
女はトラックを降りて遠い過去を懐かしむ様に鷹の飛び去って行くのを眺めている。
男はその表情を見てふうとため息をついてからトラックに乗り込みグライダーの背後にバックで着けて牽引フックをかける。
ayoan
場面は変わって、若い妊婦がトラックの助手席へ乗り込む。
ayoan