タイトル一覧
軌跡の奇蹟
月が降る夜。
鉄傘を差しながら歩く。
いつからだろうか、地球の引力に引き寄せられ月が降り始めたのは。
スマホでは、降月確率やら降月量やらがお決まりの月マークで表示されてる。
そんな事に違和感も無くなるくらいの月日は経っている。
・・・月日なのか?尽日なのか?
まぁでも、そんな時間の跳躍を感じるくらあいには、私は年を経たのだろう。
whoinside
地球に近づいた月は夜空を紅く染めて暗闇を失った動植物は進化か絶滅をよぎなくされた。
人生の大半を混乱の中に生きてきた私には懐かしむ過去はなかった。
年々重くなっていく鉄傘だけが私に生を実感させる。
t2
最近では落ちて来た月のカケラに値段が付くようになった。
鉱物としての価値では無く、玩具として。
どっかのヒマなおもちゃメーカーが冗談で作ったカケラの成分量をスキャンして、3次元モンスターを立体視させて、対戦させるゲーム。
これがまぁガキ共に大当たりした。
かくゆう、私の弟もこれにどっぷり。
私は弟のその熱の入れように、呆れるばかり。
whoinside
妹と言えば、月がカケようがそれが降ろうが何の変わりもない。
興味がない様だ。
cory
LUNATIC DAWNと大きくそのゲーム名とモンスター達が書かれたTシャツを得意げに着ている弟が一緒に月のかけらを探してくれとせがんでくる。
少し前はよく転がっていたのだが最近はなかなか目にしないそれこそいいモンスターの出る大きめのかけらなんてのはまず見つかるもんじゃない。
t2